2024年9月13日(金)、石川県志賀町(しかまち)の富来(とぎ)中学校にて、ラリージャパン2024実行委員会による能登半島地震被災者応援企画として、町内の小中学校生を対象としたラリー教室が行われ、138名の児童、生徒が参加しました。ラリードライバー勝田範彦選手による講話に続き、子どもたちを助手席に乗せてのデモ走行が行われました。
本年1月1日に起こった能登半島地震では、この志賀町富来地域も激しい揺れによって、多くの住民が不安な夜を過ごしました。同校の板岡和之校長は、「私は地震の後すぐに学校に駆けつけましたが、すでに1,500人の住民の方々が避難するため校庭に集まっており、寒いので教室に入って休んでいただきました。学校の施設もいろんなところがひび割れたり歪んだりと被害はありましたが、避難された方々が仮設住宅に入れるまで学校を使っていただくことになりました。その後、学校活動の再開には2週間を要しました。町は今でも復興の最中で、崩れた家屋の解体すらまだ思うように進んでいません。そして、富来小学校は今も使えない状態なので、小学生たちはバスで富来中学校まできて、授業を受けています。通学の途中で被災の跡を見るのは、子ども達にとって辛いと思います。それでも彼らはいたって元気です。このような機会を作っていただいたことで、大いに励まされることでしょう」と語っていました。
ラリー教室は、まずはトヨタガズーレーシングの担当者がスクリーンを使い、ラリー競技とは何かを話しました。
ラリーも野球やサッカーなど他のスポーツ同様に団体競技で、世界ラリー選手権(WRC)に出場しているトヨタチームにはドライバーやメカニックだけでなく100人を越すメンバーがいること、WRCに出場しているGRヤリスラリー1ハイブリッドは500馬力のビッグパワーを発生すること、ラリーカーは最長68mもジャンプすること、ラリーは一般公道を走ること、ドライバーとコ・ドライバーの二人で力を合わせていることなどが紹介されると、多くの生徒たちがうなずいていました。次に、WRCで活躍している日本人ドライバー勝田貴元選手の父親として、勝田範彦選手が紹介されると、生徒たちからは拍手が沸き起こります。勝田選手は、「夢への挑戦」というタイトルで、講話をお話しされました。「僕の父もラリードライバーだったので、小さい時から僕もラリードライバーになるのが夢でした。16歳でバイクの免許を父親に内緒で取得したときは怒られましたが、バイクを買うための資金は父が貸してくれました。普通免許を取ったあとは、早速ラリー競技に挑戦しましたが、3か月かけて自分で作り上げたラリーカーは木立にぶつかって壊れてしまいました。その後も何度かクルマを壊し、何回も何百回もラリーをやめようと思いましたが、周囲の支えもあり、その都度挫折から立ち直り、なんとか日本一のタイトルを取ることができました。みんなも夢があるなら諦めずに挑戦し続けること、失敗は成功のもとなので挫折に負けないこと、夢があることを周囲に話し、常に夢を意識すること」などを話しました。最後に、生徒代表の篠田真琴さん(中3)から、「私はラリーのことは今日まで知りませんでしたが、大変貴重なお話が聞けてとてもためになりました。本当にありがとうございました」との言葉が聞かれました。
講義の後は、いよいよ校庭でのデモ走行の時間です。クルマはトヨタガズーレーシングのGRヤリスラリーカーです。事前に決められていた小学1年から中学3年までの各学年1名ずつ、合計9名が勝田選手の助手席に座ることができます。低学年の生徒は怖くて泣いてしまうかと思われましたが、泣く子は一人もいません。ラリーカーは校庭を縦横無尽に走り回り、ダストでラリーカーが見えなくなるほどでした。最後にラリーカーに乗った小田憲都(けんと)さん(中3)は、「予想以上にすっごい動きだったけど、とっても楽しかったです。講義もとてもためになりました。ぼくも料理人になりたいという夢があるので、それに向かって頑張ります。めっちゃ元気が出ました」と話してくれました。
ラリージャパン2024実行委員会では、本年11月21日(木)から24日(日)に愛知・岐阜で開催するフォーラムエイト・ラリージャパン2024に石川県在住の方を招待するプログラム「能登半島地震被災者応援企画」(https://rally-japan.jp/news/latest-information/ishikawa-ouen/)をご用意しています。この日ラリー教室を経験した生徒さんを始め、石川県の皆様からの応募を心からお待ちしています。