金曜日のオープニングレグSS2はウェットコンディションに見舞われ、FIA世界ラリー選手権に参戦している何人かのドライバーは苦戦を強いられた。そうした中、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組が首位に立った。
2023年シーズン最終戦の初日、豪雨、濃霧、湿った落ち葉に覆われた道路は、クルーたちが直面した難題のほんの一部に過ぎなかった。ライバルたちの何人かが不運に見舞われるなか、エバンスはほとんど足を踏み外さなかった。
この日の第2ステージ、SS3ではわずかなオーバーシュートもあったが、エバンスは今年のドライバーズ選手権で2位の座を争うティエリー・ヌービル組に26秒差をつけて昼休みのサービス・ストップに到着した。
2022年のラリージャパンで優勝しているヌービルは、午後のSS5で驚異的な走りを見せ、エバンスのアドバンテージを半分以上に縮めた。しかし、次のSS6の第1コーナーで木に激突し逆転はならなかった。
この悪コンディションに巻き込まれたのはヌービルだけでなく、チームメイトのダニ・ソルド/カンディド・カレーラ組、M-SPORT FORD WORLD RALLY TEAMのエイドリアン・フルモー/アレクサンドル・コリア組もSS2の同じ場所でコースアウトを喫し、リタイヤリストに名を連ねた。
ライバルの2台が欠場したため、エバンスは余裕のリードを保ちGR YARIS Rally 1 HYBRIDが独占した。
ラリー・リーダーのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組は、「タフだったのは確かだ。午前中は特にひどかったが、午後も午前中のゼログリップの状態から、少し走れるようになるまでに適応するのは簡単ではなかった」
ヌーヴィルの不運の後、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組がエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組に最も近いライバルとなったが、8度の世界チャンピオンに輝いたオジエは、エバンスに追いつくのは至難の業だと認めた。
オジエはSS5で横にスライドしてバリアにぶつかったが、最小限のタイムロスで走行を続けることができた。しかし、この衝撃でシャシーが損傷。修復のため、この日最後のサービスを終えるのが遅れ、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組は1分間のタイムペナルティを受けた。
「いろいろなことが起こりうるし、実際に起こったのだから、このような一日を乗り切れたときはいつもうれしいものだ」とオジエは語った。「午後のアクシデントで少し時間をロスしてしまったが、まだここにいられることに満足している」
WRCチャンピオンに輝いたばかりのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組は、落ち葉に邪魔されながら慎重に走行し、後方のマシンにクリーンなラインを刻んだ。この23歳の一貫性が功を奏し、オジエから16.7秒差の総合3位でミスのない1日を終えた。
SS2でクラッシュを喫した勝田貴元/アーロン・ジョンストン組のミスがなければ、トヨタはトップ4を独占していたかもしれない。勝田のマシンは木に接触し、ラジエーターにダメージを負ったが、地元のスターはEVモードでステージをクリアし、その後に修理を施して復帰した。
このアクシデントに加え、道路脇で修理を施したことによる遅刻のタイムペナルティで、勝田は4分以上の遅れを喫した。その結果、勝田は9位に甘んじたが、この日彼が記録した3つのトップタイムは、可能性を示すものだった。
そんな中、ラリー2仕様のSKODA Fabia RSを駆るWRC2チャンピオンのアンドレアス・ミケルセン/トシュテン・エリクソン組が総合4位に入った。その後方には、同じくラリー2で参戦するグレゴワール・ミュンスター/ルイ・ルーカ組が続いた。
WRC2チャレンジャー・シリーズの期待を背負うニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ組は、HYUNDAI i20 N Rally 1 HYBRIDの信頼性に苦戦したエサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組を抑えて見事な総合6位を獲得した。
FORD PUMA Rally 1 HYBRIDのオィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ組はテクニカルトラブルに悩まされ8位。そしてSS3でマシンのウィンドウが曇って3分近くタイムを落とし、午後には電気系統のトラブルでさらにタイムを落とした。
元F1ドライバーのヘイキ・コバライネン/北川紗衣組がトップ10に入り、WRC2でも3位をキープした。
土曜日のDay3は距離が短いが、難易度は決して低くない。合計84.68kmの8つのステージが用意されている。