11月10日(金)、東京都港区にある綱町三井倶楽部にて、政府関係者、大会パートナー企業関係諸団体、報道関係者ら約250名が参加する中、ラリージャパン2023実行委員会主催による「フォーラムエイト・ラリージャパン歓迎パーティー」が行われ、本年のFIA世界ラリー選手権第13戦日本ラウンドがキックオフとなった。
この日、HYUNDAI SHELL MOBIS World Rally Teamのチーム代表シリル・アビテボウル、クルーのティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ、M-SPORT FORD WORLD RALLY TEAMのチーム代表リチャード・ミルナーおよびドライバーのアドリアン・フルモー、TOYOTA GAZOO Racing WRT代表ヤリマティ・ラトバラとドライバーのエルフィン・エバンスおよび勝田貴元がこの歓迎パーティーに出席。実行委員会の太田稔彦会長による開催挨拶開会宣言ののち、日本政府を代表して盛山正仁文部科学大臣が歓迎の言葉を述べると、各チームのドライバーがそれぞれラリーに向けた抱負を述べ、歓迎ムードが一気には高まった。続いて、冠タイトルスポンサーの株式会社フォーラムエイト伊藤裕二社長、自民党モータースポーツ議員連盟の古屋圭司衆議院議員、文科省室伏広治スポーツ庁長官らを加えて記念撮影が行われた。
出席者全員が会場を移動し、第二部のカーボンニュートラルへの取組の席に着いた。実行委員会の小坂喬峰副会長のリードで始まった第二部では、冒頭FIA会長モハメド・ビン・スライエムによるビデオメッセージが流され、スライエム会長は「2025年までに全ての世界選手権はFIAが定めるハイレベル環境認証を取得し、2026年までにそれらは100%クリーンエネルギーで運営されることになります。モータースポーツの競技性を損なうことなく、FIAおよび選手権関係者は環境破壊を最小化すべく努力を重ねます。中でもWRCは環境意識が高く、既に2022年から全Rally1車両はハイブリッド化され、さらに非化石燃料で運用されています」、とFIAが取り組む2020-2030環境戦略の概要を伝え、政府関係者にサスティナビリティへの取り組みを印象付けていた。続いてWRCプロモーターからは、世界選手権のより具体的な環境対策を説明。WRCが100%カーボンニュートラル燃料を導入したことで、830トンの二酸化炭素削減が実現されたこと、また中継映像を通じて全世界で8億4,100万人がWRCを観戦しており、彼らに環境保全意識を伝えることをミッションとしていることなどを語った。
現在WRCのトップレベル車両が使用しているカーボンニュートラル燃料の供給元であるP1パフォーマンスフューエル社のマーティン・ポピルカCEOは、「我々が提供しているカーボンニュートラル燃料は、化石燃料を一切配合しない天然由来の合成燃料で、完全にガソリン代替燃料”ドロップインフューエル”である」と語った。ドロップインフューエルとは、既存の内燃機関エンジンの構造やデバイスを変更することなく置き換え使用が可能な燃料であり、ハイオクタンガソリンと同等のパフォーマンスが発揮できるとのこと。続いて、小坂実行委員会副会長が、ラリージャパン2023の環境対応施策について、「クリーンエネルギーを使用した大会運営」、「環境に優しい素材の積極的な使用」、「二酸化炭素排出量の適切な算定」、「開催地域の小中学生への環境教育」、「山林の保全」の5本柱を説明。ラリーでは主役となるWRCドライバー達や各チーム代表も、しっかりとこれらのプレゼンテーションに耳を傾けていた。
カーボンニュートラルフォーラムの後は立食形式のパーティとなり、雰囲気は一転して和やかに。ドライバーやチーム代表は報道関係者らと笑顔で談笑し、16日から始まる今年最後のスペクタルなコンペティションを前に、英気を養っている様子であった。