1959年フィンランド・ラウッカ出身。WRCデビューは79年1000湖ラリー。トヨタ、プジョー、ランチア、トヨタ、フォード、スバル、ヒュンダイでWRCに出場。1986、1987、1991、1993年WRCドライバーズチャンピオンを獲得。2002年WRCを引退するも、いまだにヒストリックカーラリーイベントなどに出場。
ラリーとアイスレースを趣味としていた父ペッカから、子供の頃にアイスレースを教えて貰ったユハ・カンクネン。ユハのラリースタートは、1978年のフォード・エスコートRS2000でフィンランド選手権にしたことだった。その年は5戦に出場。翌79年の地元フィンランドで開催された1000湖ラリーでは初WRCだったが総合14位フィニッシュ。
83年にはフィンランド人にとっても伝説のドライバーであるティモ・マキネンの推薦でTTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)に入る。この年の1000湖ラリーではその期待に応えるようにセリカ・ツインカムターボで堂々の総合6位フィニッシュ。カンクネンはTTEを足掛かりに「フィライング・フィン」へと飛躍する最初の大きな一歩となった。85年のサファリラリーではセリカ・ツインカムターボでWRC初優勝。同年のアイボリーコーストラリーで2勝目を挙げた。カンクネンは、このTTEでラリーの戦い方を学んだと言われている。
翌86年にはプジョーに移籍、205ターボ16E2でWRC3勝を挙げ初のドライバーズチャンピオンを27歳で獲得した。これは当時の最年少チャンピオンだった(95年にコリン・マクレーが27歳と109日で更新)。
車両規則がグループBからグループAに変わった87年はランチアに移籍。デルタHF 4WDで2勝を挙げチャンピオンを連覇。カンクネンは88年にTTEに復帰、89年のオーストラリアではセリカGT-FOUR ST165の初優勝を挙げた。これはトヨタの4WDラリーカー初優勝となった。
88年にはプジョー205T16のラリーレイド仕様でパリ~ダカールラリーに出場し、優勝している。
90年には再びランチアに加入。ドライバータイトルをトヨタのカルロス・サインツと争うもサインツにタイトルを奪われシーズン3位に。しかし翌91年にはランチアで3度目のドライバーズチャンピオンを獲得した。
93年には再びTTEに復帰し、新型セリカGT-FOUR ST185をドライブ。この移籍は、当初TTEが予定していたサインツが、スポンサー問題で他チームへ移籍。そのシートを埋めるかたちでの復帰だった。復帰したTTEでは新型セリカGT-FOUR ST185が投入されたばかりで開発と熟成が難航、苦戦を強いられたものの自身4度目のドライバーズチャンピオンと、チームにマニュファクチャラーズタイトル獲得に貢献した。
93年カンクネンのコ・ドライバーに就いたニッキー・グリストは「ラリーの時のユハは、いつも沈着冷静。本番の時に緊張しているユハを見たことがない。ユハは経験の塊で、毎ラリーが僕にとって貴重な時間だ」、と称賛している。カンクネンのラリースタイルは、得意なグラベルラリーよりも不得手とされるターマックラリーにあらわれる。優勝や高得点はグラベルラリーで獲ればいい。ターマックラリーではスタートから無理をして飛ばす必要はない、ラリー終盤まで待てば結果はそこでついてくる、としている。だがターマックで遅いわけではない。93年WRCでターマックイベントの1戦カタルニアでは、前出のコ・ドライバー、グリストと組んで間もない時ではあったが、ステージを攻めて3位でフィニッシュしてみせたのだ。
96年までTTEで走ったユハは、97年からフォードに移籍し98年までエスコートWRカーを走らせる。99年から新天地スバル・ワールドラリーチーム(SWRT)に移籍した。カンクネンはもう優勝を狙えないかと思われていたが、地元フィンランドではインプレッサWRC99で優勝。そしてこれがカンクネン最後の優勝となった。
2001年のフィンランドではヒュンダイら、ヒュンダイ・アクセントWRCで出場。翌2002年もヒュンダイでWRCに参戦するが、この年限りでカンクネンは第一線を退いた。
2007年には、自身が所有するベントレー・コンチネンタルGTで氷上世界速度記録を樹立。平均時速は321.65キロ、最高時速331キロだったが、2011年にはベントレー・コンチネンタルスーパースポーツコンバーチブルで平均時速330.695キロを樹立した。
回数 | 年 | イベント名 | コ・ドライバー | マシン |
1 | 1985 | サファリラリー | フレッド・ギャラハー | トヨタ・セリカ・ツインカムターボ |
2 | 1985 | アイボリーコーストラリー | フレッド・ギャラハー | トヨタ・セリカ・ツインカムターボ |
3 | 1986 | スウェディッシュラリー | ユハ・ピロネン | プジョー205T16 E2 |
4 | 1986 | アクロポリスラリー | ユハ・ピロネン | プジョー205T16 E2 |
5 | 1986 | ニュージーランドラリー | ユハ・ピロネン | プジョー205T16 E2 |
6 | 1987 | オリンパスラリー | ユハ・ピロネン | ランチア・デルタHF4WD |
7 | 1987 | RACラリー | ユハ・ピロネン | ランチア・デルタHF4WD |
8 | 1989 | オーストラリアラリー | ユハ・ピロネン | トヨタ・セリカGT-FOUR ST165 |
9 | 1990 | オーストラリアラリー | ユハ・ピロネン | ランチア・デルタインテグラーレ16V |
10 | 1991 | サファリラリー | ユハ・ピロネン | ランチア・デルタインテグラーレ16V |
11 | 1991 | アクロポリスラリー | ユハ・ピロネン | ランチア・デルタインテグラーレ16V |
12 | 1991 | 1000湖ラリー | ユハ・ピロネン | ランチア・デルタインテグラーレ16V |
13 | 1991 | オーストラリアラリー | ユハ・ピロネン | ランチア・デルタインテグラーレ16V |
14 | 1991 | RACラリー | ユハ・ピロネン | ランチア・デルタインテグラーレ16V |
15 | 1992 | ポルトガルラリー | ユハ・ピロネン | ランチア・デルタインテグラーレ16V |
16 | 1993 | サファリラリー | ユハ・ピロネン | トヨタ・セリカGT-FOUR ST185 |
17 | 1993 | アルゼンチンラリー | ニッキー・グリスト | トヨタ・セリカGT-FOUR ST185 |
18 | 1993 | 1000湖ラリー | ニッキー・グリスト | トヨタ・セリカGT-FOUR ST185 |
19 | 1993 | オーストラリアラリー | ニッキー・グリスト | トヨタ・セリカGT-FOUR ST185 |
20 | 1993 | RACラリー | ニッキー・グリスト | トヨタ・セリカGT-FOUR ST185 |
21 | 1994 | ポルトガルラリー | ニッキー・グリスト | トヨタ・セリカGT-FOUR ST185 |
22 | 1999 | アルゼンチンラリー | ユハ・レポ | スバル・インプレッサWRC99 |
23 | 1999 | 1000湖ラリー | ユハ・レポ | スバル・インプレッサWRC99 |