1973年に誕生したWRC(世界ラリー選手権)は、世界で最もチャレンジングなモータースポーツとして知られています。その主舞台となるのはサーキット場ではなく、SS(スペシャルステージ)と呼ばれる、競技のために閉鎖された一般道。雪と氷に覆われた山岳路、森林を縫うように走るハイスピードな未舗装路、大きな石が転がり土埃舞う荒れた砂利道、曲がりくねった舗装の峠道など様々です。14カ国のさまざまな舞台で、季節を渡っていくWRCは、文字通り世界の道を競技フィールドとしています。
各ラリーはリエゾン(移動区間)でつながれた、いくつかのSS(スペシャルステージ)で構成されています。ドライバーはこの閉鎖されたSSを1台ずつ走り、全SSの合計タイムで勝敗を競います。ラリーで特徴的なのは、コースの状況を記したペースノートを読み上げる、コ・ドライバーが同乗することです。また、タイムを競わないリエゾンでは、一般のドライバーと同じように交通規則を守って移動します。
ラリー開催週は、まず週の前半にドライバーとコ・ドライバーが行なうレッキ(事前下見走行)から始まります。レッキではドライバーとコ・ドライバーが制限速度を守って全SSの状況をチェックし、ペースノートに記録します。続いてラリーカーによるフルスピードでのテストとなるシェイクダウンが行われ、通常は木曜日または金曜日から、日曜日まで3〜4日間で競技が行われるという流れとなっています。
ラリーカーは誰もがディーラーで購入できる市販車をベースにしていますが、参戦するクラスによってクルマの改造範囲は大きく異なります。2021年までは、WR(ワールドラリーカー)と呼ばれる、380馬力以上を発揮する4WDカーが最上位マシンでしたが、2022年からはRally1(ラリー1)がその座を引き継ぎました。
Rally1は市販車の外観を保ちながらも、内部は大きく異なります。ボディは、スペースフレームと呼ばれる金属製のポールが内部に張り巡らされ、選手たちの安全性を最大限まで高めています。エンジンは、WRカーと同じく排気量1.6Lの直列4気筒直噴ターボですが、それに加え、134馬力を発するハイブリッドシステムが搭載されるため、最大で500馬力以上を発揮。そのビッグパワーを路面に伝えるため、駆動方式はフルタイム4WDとなっています。Rally1は安全性と速さ、そして環境性能を追求した、究極のラリーカーなのです。
導入初年度の2022年シーズンはトヨタ、ヒョンデ、Mスポーツ・フォードという3メーカーのRally1が出場し、シリーズチャンピンの座をかけて、毎戦激しい優勝争いを繰り広げています。
開催国 | 日程 | 名称 | |
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第1戦 | モナコ | 1/20-23 | Rallye Monte-Carlo (ラリー・モンテカルロ) |
第2戦 | スウェーデン | 2/24-27 | Rally Sweden (ラリー・スウェーデン) |
第3戦 | クロアチア | 4/21-24 | Croatia Rally (クロアチア・ラリー) |
第4戦 | ポルトガル | 5/19-22 | Vodafone Rally de Portugal (ラリー・ポルトガル) |
第5戦 | イタリア | 6/2-5 | Rally Italia Sardegna (ラリー・イタリア・サルディニア) |
第6戦 | ケニア | 6/23-26 | Safari Rally Kenya (サファリ・ラリー・ケニア) |
第7戦 | エストニア | 7/14-17 | Rally Estonia (ラリー・エストニア) |
第8戦 | フィンランド | 8/4-7 | Rallye Monte-Carlo Secto Automotive Rally Finland (ラリー・フィンランド) |
第9戦 | ベルギー | 8/18-21 | Ypres Rally Belgium (イープル・ラリー・ベルギー) |
第10戦 | ギリシャ | 9/8-11 | EKO Acropolis Rally Greece (アクロポリス・ラリー・ギリシャ) |
第11戦 | ニュージーランド | 9/29-10/2 | Rally New Zealand (ラリー・ニュージーランド) |
第12戦 | スペイン | 10/20-23 | Rally RACC Catalunya – Rally de España (ラリー・デ・エスパーニャ) |
第13戦 | 日本 | 11/10-13 | FORUM8 Rally Japan (フォーラムエイト・ラリージャパン2022) |
サーキットレースと違い、ラリーは全体が見えないイベントです。
ここではラリーが行なわれる様子を分かるようにイラストで紹介します。