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【観戦ガイド】ラリージャパンをとことん楽しもう! 〜vol.1 WRカーの異常な世界〜

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ラリーカー(WRカー)のピラミッドの頂点に立っているのがRally1カー。そのパフォーマンスとオールラウンダーぶりはまさに“モンスター級”。ファインダー越しに、そして取材を通してそれを感じてきたモータースポーツジャーナリスト古賀敬介さんが、とくにマッスルなところを解説してくれました!
TEXT:古賀敬介(Keisuke KOGA) 協力:AUTOSPORT

Photo:TOYOTA

F1マシンをスポーツ選手にたとえるなら、陸上競技の100m選手。平坦な道、短距離という限られた条件で最高の力を発揮するF1マシンは、モータースポーツ界の花形選手と言えます。では、WRCのトップマシン、Rally1カーはどうかと言うと、十種競技の選手といったところでしょうか。
短距離、長距離、どちらもいけるし、走り幅跳びも得意。その気になれば50m以上飛べてしまいます。街中や山道も普通に走れるという意味では駅伝ランナー的でもありますし、山の中の荒れた未舗装路をグイグイ突き進む姿はトレイルランナーでしょう。浅瀬ならば川だって渡れるし、雪や氷の上でのダンスも得意だから、水泳やウインターゲームの選手でもあります。つまり、本当の意味で万能なレーシングマシンと言えます。
見た目は街中でもよく見かけるコンパクトカーに近いですが、中身はサイボーグレベルまで改造されていて、身体能力の高さは異常なレベル。GTマシンと比べても遜色ありません。それでいて、サスペンションとタイヤを変えるだけでどんな路面でも全開で走れるRally1カーは、まさにキング・オブ・レーシングマシンなのです。

【Rally1カーの凄さ①】飛距離50m以上

Photo:M-SPORT
Rally1カーはジャンプがとても得意。フィンランドやスウェーデンといった超高速の未舗装路ラリーにはジャンピングスポットが多くあり、その気になれば50m以上飛べます。ただ、アルペンスキーのダウンヒルのジャンプと同じで、あまり飛びすぎてもタイヤの駆動力が地面に伝わらず、タイムロスになることもあるので、あえて飛ばない選手もいます。また、着地に失敗してコースオフすることも、衝撃でクルマが壊れることもたまにはあります。50mというと本格的なプールの1本分ですし、新幹線で言うと2両分の長さ。それを土や雪の上で軽々飛んでしまうRally1カーも、ステアリングを握っているドライバーもアンビリーバボーです。

【Rally1カーの凄さ②】ダンパーストローク最大270mm

Photo:TOYOTA
Rally1カーは足が長い。もちろん、股下ではなく、ストロークのことです。WRカー時代は軽く300mmを超えていましたが、Rally1カーでは270mmまでに規制されることになりました。それでも、ジャンプ中にビヨ〜ンと伸びたときはWRカー時代同様、まるでバギーのような姿に。だからこそ、ジャンプの着地や荒れた路面でもタイヤがしっかりと地面を捉え、クルマが前に進むのです。石などが当たっても大丈夫なように、かなり頑丈に作られてもいます。ターマック(舗装路)ラリーでは車高がグッと低くなり、ストロークも短くなります。それでも段差や路肩がある一般道を走るため、サーキットマシンと比べたら足はかなり長いのです。

【Rally1カーの凄さ③】雪上でも舞います

Photo:HYUNDAI
「Rally1カーは雪道でも走れます」というのはかなり控えめな表現で、雪道では未舗装路と同じかそれ以上のスピードで全開走行が可能です。スノーラリーの平均速度は全WRCイベントのなかで例年トップ3に入るほど。それを可能にしているのは、ハリネズミのようにびっしりと金属製のスタッド(びょう)が埋め込まれた「スタッドタイヤ」を履いているから。雪面のグリップ力は驚くほど高く、雪上でのWRカーの走りは非常にダイナミックなんです。

【Rally1カーの凄さ④】水泳も得意

Photo:TOYOTA
グラベルラリーではウォータースプラッシュと呼ばれる川渡りも頻繁にあります。バンパーレベルくらいの水深でも全開で通過するなど、Rally1カーは意外と水泳も得意。ただ、エンジンが水を吸い込んでしまうため、一時的に吸気口を切り替えてクルマの前部から水を吸い込まないようにしないと、ミスファイアしてエンジンが吹けなくなったり、最悪の場合、止まってしまったりすることもあります。ハイブリッドシステムのないWRカー時代の話ですが、2015年WRCメキシコでは、とあるマシンが貯水池に落ちて水没。でも、引き上げて水抜きし、翌日は競技に復帰したなんてこともありました。

【Rally1カーの凄さ⑤】フォーミュラカー並みの鬼加速

Photo:TOYOTA
Rally1カーのエンジンは1.6ℓ直列4気筒直噴ターボ。いわゆる“テンロクターボ”ですが、その公表最高出力は380馬力以上、最大トルクは425Nm以上と、とんでもない強心臓です。自然吸気エンジンにたとえると、排気量4ℓクラスのパフォーマンスがあります。2022年から導入されたRally1カーでは、そこにハイブリッドアシストが加わりました。ハイブリッドアシストの最高出力は約134馬力。合計の最高出力は500馬力以上にもなります。それが、最低重量1260kgと比較的軽く、コンパクトなボディに搭載されているのですから、運動性能は圧巻です。しかも、駆動方式はフルタイム4WD。元F3ドライバーでもあるトヨタの勝田貴元選手によれば、エンジンパワーのみだった2021年でも、ゼロ発進時の加速感は「ガツン」と鋭く、フォーミュラ以上に感じていたのだとか。ハイブリッドアシストが加わった今年は、フルスノーラリーの第2戦スウェーデンではあえて2速発進にするときもあったそうです。

【Rally1カーの凄さ⑥】GT500並みの空力マシン

Rally1カーでは、WRカー時代ほどの攻撃的なエアロパーツはNGとなりましたが、空力モンスターであることには変わりありません。リヤにはカーボン製の大型ウイングが装着され、フェンダーは大きく張り出しています。フロントはバンパーやフェンダーがダウンフォースを得やすい形状に。コンパクトGTカーと言える出で立ちです。このエアロパーツのおかげもあり、時速200km近いグラベルのコーナーでもクルマは非常に安定しています。競技の性格上、クルマが岩壁や木に当たることも多いので、エアロパーツはスペアがたくさん必要です。

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